はじめに
↓前回の記事はこちら↓

- 言いたいことはあるけど、どう言えばいいか分からない
- つい本音を言えずに我慢してしまう
- いつも感情的にぶつけて口論になってしまう
そんなあなたに役立つのが「DESC(デスク)法」です。
「DESC法」とは、相手との関係を壊さずに自分の気持ちや希望を伝えられる、❝4ステップの手順❞です。
このスキルを学ぶことで、あなたの人間関係が驚くほど良好で健全なものになっていきます。
ぜひ、できる範囲で少しずつチャレンジしてみてくださいね。
1.DESC法とは?
「DESC法」とは、相手を尊重しながら自分の意見や気持ちを伝える「アサーション」のための、具体的な4つのステップのことです。
- 【D】Describe(描写する):事実を客観的に伝えます。
- 【E】Express(表現する):自分の気持ちや考えを正直に伝えます。
- 【S】Specify(提案する):具体的な希望や提案を伝えます。
- 【C】Choose(選択する)/Consequences(結果を伝える):相手の反応に応じた結果や対応策を伝えます。
DESC法を使うことで、「自分の気持ちを抑え込まない」で、なおかつ「相手を責めすぎない」、バランスの取れた表現で気持ちを伝えることができます。
また、相手からも「やわらかくて親しみやすい印象」を持たれやすくなる(堂代 ほか, 2010)という研究もあります。
2.DESC法を使って気持ちや希望を伝える方法

ここからは、職場での具体例を通して、「DESC法を使った気持ちや依頼の伝え方」を解説していきます。
2-1.Describe(描写する)
まずは事実を客観的に伝えます。

チーフ、
今回も、会議の資料が30分前にデスクに置かれていました。
2-2.Express(表現する)
次に、自分の気持ちや考えを正直に伝えます。



私、30分前だと準備が間に合わないので、すごく焦ってしまいまして。
どんな感情を感じるかはその人の自由であり、適切な表現で伝えてもいい権利があります。つまり、誰かが他の人の感情に対して、批判や評価をする権利はありません。
2-3.Specify(提案する)
その後、自分が相手にどうしてほしいのか、具体的な希望や提案を伝えます。



今後は、もう少し早段階で、何らかの資料か情報をいただけませんでしょうか?
私の場合は、せめて前日までにいただけますと、大変ありがたいのですが、可能ですか…?
曖昧なお願い(「もっとちゃんとしてほしい」など)ではなく、具体的な内容にしましょう。
2-4.Choose(選択する)/Consequences(結果を伝える)
最後に、相手の反応に合わせて、気持ちや対応を伝えます。
協力的な反応だった場合



あー、申し訳ない。本部から降りてくるのがいつも遅いんですよ。
本部に前々から頼んでいるんですけど、なかなか…。
前日は無理かもしれない! 当日朝イチには渡せるように、調整します。
いけそうかな…??



なるほど、そうでしたか…。チーフも困っておられたわけですね。《①》
承知しました。
私としては、朝イチにいただけるだけでも、だいぶ心の余裕が違います。《②》
助かります!!
引き続き、本部への打診をお願いします。
ありがとうございます。《③》
困難な返答だった場合



あー、申し訳ない。本部から降りてくるのがいつも遅いんですよ。
前々から頼んでいるんですけど、なかなかね…。
本部の返事待ちで、ちょっと約束できそうにないですね。



なるほど、そうでしたか…。チーフも困っておられたわけですね。《①》
せめて朝イチにいただけるよう、本部との調整をお願いできないでしょうか?
私、準備が不十分なまま会議に出るのは、評価が下がりそうなので、不安でして…。《②》
よろしくお願いします。ありがとうございます。《③》
- 必要に応じて、認知的共感を使って、相手への理解を示す言葉を添えます。
- 困難な返答だった場合でも、❝アイ(I)メッセージ❞で感情を伝えながら、落ち着いて依頼を伝えます。
- 相手に対応をお願いした場合は、感謝の言葉を忘れずに添えます。
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まとめ
DESC法は、自分の気持ちを大切にしながら、大切な相手との関係も壊さない重要な「コミュニケーション・スキル」の一つです。
——怒らず、我慢せず、でもきちんと伝える。なおかつ、相手を嫌な気持ちにさせない。
そんな自己表現ができるようになると、人間関係の幅が広がり、その質も良好で健全なものに変わっていきます。
ぜひ、あなたの言葉で、日常会話の中から意識するようにしてみてくださいね!
参考文献
- 堂代 裕子, 玉瀬 耕治(2010). K350 アサーティブな表現が聞き手に与える印象(口頭セッション58 パーソナリティ2). 第52回総会発表論文集, 日本教育心理学会, セッションID: K350. https://doi.org/10.20587/pamjaep.52.0_572
- マシュー・マッケイ (2011). 弁証法的行動療法 実践トレーニングブック‐自分の感情とよりうまくつきあってゆくために‐星和書店.(原著: Dialectical Behavior Therapy Skills Work-book: Practical DBT Exercises for Learning Mindfulness, Interpersonal Effectiveness, Emotion Regulation & Distress Tolerance). https://amzn.to/47S8FeO